歯牙移植

横浜日吉おおとう歯科 親知らず

虫歯や歯周病、事故などで失った歯は、元に戻ることはありません。通常はブリッジや入れ歯、インプラントなどで失った歯の機能を補いますが、自分の歯のときのような噛み心地を味わうこと不可能です。

インプラントは元の歯に近い噛み心地だとされますが、全く同じというわけにはいきません。しかし、条件さえ、あれば「歯牙移植」という選択もあります。

歯牙移植は、文字通り、歯の移植です。もし、可能であれば、失った歯の機能を自分の歯で補うことができるかもしれないのです。

「自分の歯をできるだけ残したい」という患者さまの願いをかなえる治療法といえるかもしれません。

移植には自家歯牙移植と他家歯牙移植があります。自家歯牙移植とは、自分の歯を使った移植、他家歯牙移植とは他人の歯を使った移植ですが、他家移植は拒絶反応が起こるため免疫抑制剤が必要で、感染症の危険もあります。

このため、現在はほとんどが自家歯牙移植で、他家歯牙移植はほとんど行われていません。

「歯を残したい」との願いをかなえる
歯牙移植

たかが「歯1本」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歯が1本欠けることはとても不幸なことです。

もし前歯なら、見た目が損なわれますし、噛み合わせや噛む力、首や肩の筋肉、消化不良など体の至るところに影響が及びますし、虫歯や歯周病を発症しやすくもあります。

歯1本を決してあなどってはいけません。それだけに、歯を失ってしまった場合は、いくつも条件はありますが、可能であれば歯牙移植を検討していただきと思います。 1つです。

歯牙移植は、ブリッジのように、抜けてしまった歯の周囲の歯を削る必要ありませんし、インプラントのように骨に土台を埋め込むこともありません。歯や組織を再生させて修復する再生療法の一種です。

歯牙移植を行うには、いくつか条件があります。その一つは、適応する移植用の歯(ドナー歯)があることです。他人の歯ではなく、自分の歯を使うのでどこかから歯を抜いてこなくてはなりません。
とはいっても、普通は余分な歯などありませんから、抜く必要がある親知らずや、骨の中に埋まった埋伏歯などが、よくドナー歯として使われます。

歯の根元には「歯根膜(しこんまく)」という組織があります。歯の根と骨をつなぐ薄い膜のような組織で、「歯周靱帯(ししゅうじんたい)」とも呼ばれます。

歯根膜は歯と骨をしっかり結びつけるともに、噛むときの力を和らげるクッションのような役割もしています。また、噛んだときの食べ物の固さを感知して、脳に伝える役割もあります。

義歯やインプラントにすると、歯根膜は役割を果たすことができませんが、歯牙移植であれば、歯根膜を活用し、インプラントなどにはない安定感が得られます。

歯を移植した後は、うまくいけば4~5カ月で安定し自分の歯として噛むことができるようになります。

また、条件によっては、一部健康保険が適応されることがあります。

歯牙移植とインプラント治療との違いとは

インプラントはあくまでも人工物ですが、歯牙移植は自分の歯を使います。天然の歯とほとんど変わらない機能を持つと言われるインプラントですが、やはり天然の歯にはかないません。

天然の歯ですから、他の歯と同じように、年齢によって衰え、ケアを怠ると虫歯にもなります。しかし、歯牙移植の場合はは歯根膜を活用することができます。

さきほども説明しましたが、歯根膜は天然の歯の根と骨の間にある薄い膜です。歯根膜は、噛む力を支えるためのクッションになり、噛む感触を脳に伝えるという役割があります。

人の噛む力は非常に大きく、それを受け止める歯は、噛むたびに大きなダメージを受けます。そうした力で歯や顎の骨が傷付かないよう、噛む力を調整し、力を和らげるクッションにもなるのが歯根膜なのです。

インプラントを入れても、そこに歯根膜がつくわけではないので、噛む力はインプラントを通じて、ダイレクトに顎の骨に伝わります。

歯牙移植ができる人とは?

歯牙移植は、可能であれば、歯を失った場合の最善の治療となり得るのですが、どんなケースでもできるとはかぎりません。たとえば、ドナー歯は奥歯になることが多く、前歯に移植することはほとんどありません。

歯牙移植が可能なケースとは

歯牙移植を検討するのは次のようなケースです。ただし、条件によっては、歯牙移植を断念することもあります。

  • 虫歯が進行したり、歯が折れたりして奥歯を抜かなければならない
  • 既に奥歯が失われてれて、親知らずが残っている
  • 歯を失った場所にインプラントをいれるか、ブリッジにするか迷っている
  • 1本のみのインプラントを検討している
  • 奥歯にヒビが入ったり、割れたりしている
  • 奥歯に痛みやうずきのある

移植が可能な条件とは

移植を行うには、いくつかの条件があります。当然のことですが、ドナー歯は虫歯などのない健康な歯でなくてはなりません。

  • ドナー歯となる不必要な歯がある
  • 移植する歯が歯周病にかかっておらず、歯根膜がしっかりしている
  • 移植する歯の根が複雑な形をしていない。または、単根ではない
  • 移植する場所に歯の大きさがあっている
  • 移植を受ける患者さまが若い。移植が可能なのは、40歳くらいまで

歯牙移植を受ける
メリットとデメリット

歯牙移植は、歯を失っても天然の歯を使い続けられるというメリットがありますが、条件が厳しいというデメリットもあります。デメリットとメリットをまとめてみましょう。

歯牙移植のメリット
  • 歯根膜を一緒に移植するので、自分の歯で噛んだときの噛み応えを保つことができる。
  • インプラントに比べると費用を抑えることができ、成長期の方も治療を受けられる
  • 周囲の健康な歯を削る必要はなく、自然な噛み合わせになる
  • 条件がによっては、治療費に健康保険が適用される。
  • 自家歯牙移植であれば、アレルギーなどの心配がない。
歯牙移植のデメリット
  • インプラントに比べ、手術が難しく、術者の技能に結果が左右される
  • 成功するかどうかの見極めが難しい
  • 抜歯が可能な健康な歯が必要になる
  • 治療できる条件が限られ、すべての人が受けられるわけではない
  • 大がかりな外科手術となる
  • 高齢者は治療の成功率が低い

歯牙移植についてのQ&A

歯牙移植について、よくある質問をQ&Aでまとめてみました。